作曲家、音楽プロデューサー。「カリテプリ音楽工房」代表。 1958年大阪生まれ。2004年『悲しい涙は流さない』(あべさとえ)、2006年『Deep Blue』(国土交通省「熊野川オリジナルソング大賞」)、2007年『幻のキャバレー』(メイ)、『誓い』(庄野真代)、2012年『ヒマワリ』(丸石輝正)、2013年『NHK BOSAI体操』、2016年『おともだち2000年』(京都府)など。
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神田須田町の交差点は、
銀座から来た中央通りと、
新宿に向かう靖国通りが直交するので、
普段でもざわざわとしているものだが、
ここ数日間は、
魔界から電車が到着するような、
ただならぬ気配に包まれていた。
それまで目隠しをしていた養生がとれ、
新しい店舗が姿をあらわすと、
それは国酒(日本酒)の専門店だった。
看板には「国酒 鈴木酒販 小売部 神田店」とあった。
賢者の石のようなものが発光しているらしく、
ずるずる、と全身が引き寄せられるのを感じる。
自動扉を踏むと、
中は縁日のにぎわいだった。
内側へと吸い込まれる風が吹いていた。
デパ地下の売り場でも、
これだけ種類がそろうことはないだろう。
日本酒ファンの垂涎(すいぜん)の的が所せましと集められ、
大所帯のアイドルグループのように、
それぞれが自己の存在をアピールしていた。
何よりも驚いたのは、
店の一角に間仕切りで囲まれた部屋があり、
酒杯を手にした男女が密集していた。
山手線のホームのようだ。
そこはできたばかりの角打ちで、
いわゆる立ち飲みのスペースだった。
「獺祭」とか「梵」とか「楯野川」とか、
人気のアイテムが驚くべき値段で売り出されていた。
クラフトビールもあった。
ワインもあった。
あまりの熱気に気圧されて、
角打ちに近づくことはできなかったが、
開店数日のこの店は、
すでに神田・秋葉原の名店のひとつに数えられ、
ここで軽くのどを湿らせたのんべぇは、
次に「肉の万世」の立ち飲みでメートルをあげ、
夜の巷へとくり出していくのだそうだ。
神田須田町の交差点は、
酒飲みのための航空母艦であり、
「鈴木酒販」は戦闘機を夜空に送り出すための、
カタパルトの任務をまっとうしているようだ。
神田に引っ越して来るまで、
自分は内省的な人間だと信じていたが、
どうやら思い違いをしていたようだ。
狂騒の風を全身に受けて、
心の風車が音を立てて回りはじめた。
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